編成や運行のおもしろさ

  

草軽電鉄  ダブルルーフの客車を牽くL電

草軽
栗平付近を北軽井沢へ向かう列車 1960年3月 撮影=細井扇郎

 草軽電鉄は、1959年8月の台風で吾妻川橋梁が流されてしまったことから、翌春に新軽井沢~上州三原間の部分廃止、その2年後には全線廃止に追い込まれてしまいました。モータリゼーションの波の中では避けがたいことだったと思いますが、変化に富んだ風景の中をゆっくりコトコト走る列車は、なかなか人気がありました。もしこの災害に見舞われずにもう5・6年動いていたなら、避暑地軽井沢の観光資源として生まれ変わることもできたのではないか、という声が聞かれるくらいです。

駅の掲示

 変わった形をした機関車は、もとは建設工事用に米国から輸入されたものですが、この鉄道に来るときに狭い縦長の運転室と大きなパンタグラフを載せたため、「L電」とか「カブトムシ」などと呼ばれるユニークな形をしていました。上の写真で、うしろに1両だけ牽いている客車は、やはり群馬県の高原を走っていた伊香保電鉄からやってきたもので、ダブルルーフの屋根、窓の十字の桟や外吊りの扉など、これまた趣きのある形をしています。

 こんな列車が、別荘地を抜け、急勾配を登り、急カーブやスイッチバックで峠を越え、草津温泉まで50km余りを3時間半もかけて走っていたのです。

 この写真は、長野と群馬の県境を越えて、二度上のスイッチバックを下った後、川沿いに北軽井沢の高原に降りてきたところ。栗平の駅のあたりで撮影されたものです。背景に木の橋が見えていますが、この川の上流(右手)が、二度上方面、左手が北軽井沢になります。部分廃止の直前の時期ですが、それでもたった1両の客車には、かなりの人数のお客さんが乗っているようですね。

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