編成や運行のおもしろさ
井笠神辺線の混合列車
バス事業廃止が話題となっている井笠鉄道ですが、鉄道部門が廃止されたのは1971年(昭和46年)3月末でした。それに先立って、矢掛線(北川~矢掛)と神辺線(井原~神辺)が廃止されたのは1967年(昭和42年)春のこと。この2つの路線は、沿線風景がやや変化に乏しいこともあって、記録はあまり多くは残されていないようです。
それらの写真を見ると、神辺線では荷台が付いたホジ12が単行で走っていることが多いようですが、混合列車も走っていたのです。井笠は、蒸機全廃後DLを導入せず、貨車はすべてDCの牽く混合列車に組まれていました。
このホジ12は、ボギーにしては車長が短く、片バスケットで珍しい車両ですが、それ故に有名で製品にもなっているので、模型ファンの間ではよく知られています。むしろボギー車にもかかわらず出入口一か所というのが特異なようです。
車体の形状は典型的な日車タイプというか日車標準型ともいうべきもので、むろん長い車両を真ん中でぶった切ったものではありません。台車は大きい方が偏心台車といって、
一軸駆動のため荷重が多くかかるよう枕梁の位置を駆動輪側に寄せてあります。
井笠の貨車はすべてボギー車で車掌台付のものは密閉タイプとオープンと両方がありました。オープンタイプのホワ4が、ホジ12の荷台側に連結されて走っているところは、軽便鉄道ならではのおもしろさがあると思います。おそらく現地では特に珍しいシーンではなかったのでしょうね。