人間と鉄道
陽だまりの子どもたち(駿遠線 堀野新田の5月)
しばらく前に路線が短縮された軽便鉄道の駅では、列車の本数が減り、人の乗り降りも少なくなりました。大人の目のとどかない駅の構内は、子どもたちにとって格好の遊び場です。やがて、線路をきしませながら1輌だけの列車が到着。数人の乗客が降りてエンジンが止まると、さっきまで積んである枕木やレールを昇り降りしていた小学生たちは、ディーゼルカーも遊びの材料にし始めました。
つかまるところや足をかけるところを探して、ぶら下がってみるのは、ちょっとした冒険です。遠くで写真をとっているお兄さんたちに気づいて、得意なポーズ。
今度は、みんなが走ってきました。普通のカメラとは違う長いレンズと三脚に、何をしているのか興味津々。「のぞいてみる?」と声をかけてもらい、しゃがんでいる子の嬉しそうなこと。後ろの子は順番を待ちきれない様子です。
駅の反対側の線路は、何年か前に廃止されてしまいました。使われなくなった信号機と、枕木を組んだ車止めの先は、畑の中に砂利道が続いているだけ。
もう数年で、この小さな駅も無くなります。楽しい遊び場での時間は、子どもたちの記憶の中に生き続けているでしょうか。