人間と鉄道  

  

  軽便とオートバイ  

バイク1
沼尻鉄道川桁駅 1966年 撮影=梅村正明

 上の写真、みなさんは見た瞬間に、どこに目が行くでしょうか。降雪地らしい屋根、活き活きとした子どもたちの所作、軽便ならではの低いホーム。いろいろと見どころのあるカットですが、今回は駅名票の下にあるオートバイに注目してみたいと思います。
 後にはヤマハ、ホンダ、スズキ、カワサキといった少数のメーカーだけが生産するようになりますが、昭和30年代までは多数の中小メーカーがしのぎをけずっており、丸正のライラックだとか、メグロだとか、今でも愛好家の話題になるものもあるようです。これは、東昌のエコーという車種に似ていると思うのですが、画像からはメーカーが特定できません。
 それはさておき、オートバイがなぜホーム上にあるのでしょう? 後輪に接するように梱包した荷物があるところをみると、これから列車に乗せて運ばれていくところではないかと思います。
 客車のデッキや気動車の荷台に自転車を積んで運んでいた例は、西大寺では日常茶飯事だったようですし、あちこちの軽便で許されていました。ここ沼尻鉄道でも、写真の撮影者が川桁の駅長さんから自転車を借りて運んだという実例があります。やがて到着する列車のデッキか、空の無蓋車にでも乗せて、どこかの駅まで運ばれていく姿を思い浮かべると、ちょっと楽しい気分になります。想像するだけじゃなくて、レイアウト上でもそんな光景を演出してみたくなりませんか?

バイク2
1982年 下津井電鉄 撮影=山猫軒主人

 軽便鉄道やナローの専用線の撮影をしていると、「自転車オートバイ通行禁止」「軌道敷走行禁止」といった看板に出会うことがありました。わざわざ掲示をしていたのは、こういう(左のような)ことをする人が、けっこう居たからだと思われます。
 この写真は、下津井電鉄で撮影されたものですが、同じ日に別の場所で自転車が犬走りを走っている写真もあります。良く見ると線路内にも草が生い茂り、左側などはすっかり緑に覆われているのに、右側だけはほとんど草がありません。もしかすると、毎日の通勤経路にでもなっていたのでしょうか。

入口へ戻る  画像倉庫トップへ戻る   「人間と鉄道」リストに戻る